可笑しなことの見つけ方

日常で見つけた可笑しなことを書いていきます。毎週木曜日20時ごろ更新予定です。

2014-01-01から1年間の記事一覧

唐突に言う

カットサロンで髪を切り終わった時や、シャンプーをしてもらった時などに促されて椅子から立ち上がると、美容師さんが言う。 「おつかれさまでした!」 すると周りで働いている美容師さんたちが一斉にこう言ってくれるのだ。「おつかれさまでした〜!(合唱…

旅行が旅に変わる時

計画を立て、旅行する。そして、旅行に行って帰ってきてみると、これは旅だったなと思う。旅行と旅の違いは、どれくらい予想もしなかった人やものごとに出会えたかという点にあるのではないか。そして、旅行から旅へとどこかで一線を越える瞬間が確かにある…

あえて2回言う

ゴールデンウィーク中に、電車で本を読んでいたら、出張帰りという雰囲気のスーツ姿のおじさんと若い男が乗ってきて隣に座った。しばらくすると、おじさんは携帯電話の画面に息子の写真を表示させて、若い男に見せはじめた。 「これは小さい頃の写真だけどね…

極度の心配性

チャックが生地に絡まった。春先になりなんとなしに羽織ったパーカーだった。チャックを閉める指先に、いつもと違う引っ掛かりを感じた時には既に遅かったのだ。どこにそんな隙間があったのだろうかというチャックの鎖の間に布地が挟まっている。これは大変…

おまかせ亭

渋谷のおまかせ亭というレストランに入った。店名からして、なんとも頼もしい。映画を観た後でとてもお腹が空いていた私はカレーのセットを頼んだ。あっという間にボール皿に入ったサラダが出てきた。サラダだけでもお腹がいっぱいになりそうである。さすが…

視線の送り方

紀伊国屋書店で本を買い、新宿駅への地下道を歩いていた。改札口へと続くゆるやかなカーブを描く階段を上がっていくと前方から 「チラッ、チラチラ」 という女性の声が聞こえてきた。顔を上げると、百貨店の紙袋を提げたご婦人が満面の笑みで、顔を突き出し…

丁寧なバス運転手

雨の日の朝に駅へと向かうバスはかなり混雑している。私自身もそうだが、普段は歩いたり、自転車に乗ったりする人たちがバスに乗るからだし、道も渋滞しがちだからだ。最近はバス停に「あと3分で到着します」などといった案内が出るようになっている。とて…

意味もなく花笠をかぶる

いつになく長く感じられた冬も終わり、今年は一気に暖かくなった。春、桜の季節の到来である。桜や気持ちがいい風に誘われてか、冬の間はどこかに身を潜めていた可笑しな人たちも町へと出てくるものだ。 つい先週、外は汗ばむほどの陽気で、私は薄手のパーカ…

カレー屋の小芝居

休日の午後、吉祥寺のある店でカレーを食べていた時のことだ。その店のカレーは黒々としたルーの上に、刻んだパクチーが載せてあり、味にちょっとしたアクセントを与えていた。うまいなあ、どうやってこんなにうまいカレーを作るんだろうなあと感心しながら…

本質的には同じものだからこそ

端から見れば同じものにしか見えないものだが、当の本人は自分にしか見分けの付かない微妙な違いを愛でていることがある。例えば、プロ野球の試合を見ていると 「昨日も同じのをやってたよ」 と家族が言う。野球に興味のない人からすれば、同じ試合にしか見…

恐ろしい地下鉄

去年の夏のことだが、はじめてイタリアに旅行に出かけた。最初にローマに滞在し、その後鉄道でフィレンツェ、さらにピサへと足を伸ばした。ピサでは現地に住む友人が案内してくれたお陰でのんびりと風景や料理を愉しむことが出来たのだが、最初に入ったロー…

年を取ることの謎

紅白歌合戦で石川さゆりが出てきて、「津軽海峡冬景色」を唄いはじめると、なぜか横で父も熱唱し始めた。すぐにやめるかと思ったら一向にやめる気配がない。やめてよと言ってもやめない。母は母で、前にも聞いたような話をくり返したりする。二人ともほんと…

それを「ばんばひろふみだ」と言い張る者

中学生のころ、周りが流行の音楽を聴く中で、私はなぜだか懐メロが好きだった。今でもやはり懐メロは好きだが、その頃いいなと思っていたのが、ビリー・バンバンの『さよならをするために』だった。ちょうど麦焼酎いいちこのCMにその曲が使われており、画…

結果を知ってから試合を観る

朝起きて最初に観たニュース番組で羽生結弦くんが金メダルを採ったことを知った。それから実際の競技の録画を観た。だから私は安心して観ているわけだが、ジャンプで4回転し着地すると予想に反してこけてしまった。ここから挽回するのだなと思っていたのだ…

存在しないかまくら

2週連続の大雪はなんだかんだで結構大変だった。電車は止まるし、会社の構内を雪掻きしなくてはいけなかったし、家から出掛けるのも一苦労だった。天気が回復し外に出るとあちこちで雪掻きをする人の姿が目に入った。駅への道を歩いていると、民家の玄関脇…

全品3割引の男

最近密かに楽しみにしていることがある。会社帰りに電車を降りてエスカレーターを登っていくと、声が聞こえてくるのだ。 「全品3割引で〜す! 全商品30%オフになりま〜す!」 その声はただひたすらこれをくり返している。そこは駅ナカで持ち帰りの寿司を…

みんなで天ぷらを

可笑しな話を日々集めて書いていると、周囲から可笑しな話が集まってくる。宇治拾遺物語の編者もこういう心境だったのだろうか。会社にマツヤマという後輩がおり、彼もまた私が可笑しな話を収集していると知って、自身が経験した可笑しなことを教えてくれた…

普通って何なのか?

テレビで高校の応援団についてのドキュメンタリー番組が放送されていた。私はこの応援団というのが結構好きで、この番組も食い入るように観たのだが、一つ気になったことがあった。それは夏合宿の夕食を映した場面でのことだった。指導役として合宿に参加し…

仁王像のように

会社帰りに買い物をしようと思って、とあるターミナル駅の改札口を出た。ずらっと並んだ自動改札機を抜けると、目の前に仁王立ちのような格好のおっさんが立ってはだかったいた。

パン工場の夜

仕事で疲れてくると、夜通しパン工場でアルバイトをした遠いあの大学生の日々のことを思い出す。あの頃は金が本当になくて、サークルの先輩に教えてもらったある大手製パン会社のパン工場でしばしば夜勤のアルバイトをしたのだった。 事前に聞いていたのは、…

それでも研修は受けなければならない

先日、帰省した折に、地元の友人・ヤマムラと飲んだ。彼は可笑しな話題に事欠かない人物なのである。そのいくつかをこのエッセイで紹介する許しを得た。 彼はとある企業の大阪支社で働いており、ある日研修を受けることになった。最近では参加型のものが多く…

お正月らしい可笑しなこと探し

あけましておめでとうございます。いつもご愛読ありがとうございます。このブログを始めてから3ヶ月が経ちました。今年もまたくすっと笑えるようなことを毎週木曜に書いていきます。いつもとは言いません、ふと思い出し時に読んでいただければと思います。 …