可笑しなことの見つけ方

日常で見つけた可笑しなことを書いていきます。毎週木曜日20時ごろ更新予定です。

それを「ばんばひろふみだ」と言い張る者

中学生のころ、周りが流行の音楽を聴く中で、私はなぜだか懐メロが好きだった。今でもやはり懐メロは好きだが、その頃いいなと思っていたのが、ビリー・バンバンの『さよならをするために』だった。ちょうど麦焼酎いいちこのCMにその曲が使われており、画…

結果を知ってから試合を観る

朝起きて最初に観たニュース番組で羽生結弦くんが金メダルを採ったことを知った。それから実際の競技の録画を観た。だから私は安心して観ているわけだが、ジャンプで4回転し着地すると予想に反してこけてしまった。ここから挽回するのだなと思っていたのだ…

存在しないかまくら

2週連続の大雪はなんだかんだで結構大変だった。電車は止まるし、会社の構内を雪掻きしなくてはいけなかったし、家から出掛けるのも一苦労だった。天気が回復し外に出るとあちこちで雪掻きをする人の姿が目に入った。駅への道を歩いていると、民家の玄関脇…

全品3割引の男

最近密かに楽しみにしていることがある。会社帰りに電車を降りてエスカレーターを登っていくと、声が聞こえてくるのだ。 「全品3割引で〜す! 全商品30%オフになりま〜す!」 その声はただひたすらこれをくり返している。そこは駅ナカで持ち帰りの寿司を…

みんなで天ぷらを

可笑しな話を日々集めて書いていると、周囲から可笑しな話が集まってくる。宇治拾遺物語の編者もこういう心境だったのだろうか。会社にマツヤマという後輩がおり、彼もまた私が可笑しな話を収集していると知って、自身が経験した可笑しなことを教えてくれた…

普通って何なのか?

テレビで高校の応援団についてのドキュメンタリー番組が放送されていた。私はこの応援団というのが結構好きで、この番組も食い入るように観たのだが、一つ気になったことがあった。それは夏合宿の夕食を映した場面でのことだった。指導役として合宿に参加し…

仁王像のように

会社帰りに買い物をしようと思って、とあるターミナル駅の改札口を出た。ずらっと並んだ自動改札機を抜けると、目の前に仁王立ちのような格好のおっさんが立ってはだかったいた。

パン工場の夜

仕事で疲れてくると、夜通しパン工場でアルバイトをした遠いあの大学生の日々のことを思い出す。あの頃は金が本当になくて、サークルの先輩に教えてもらったある大手製パン会社のパン工場でしばしば夜勤のアルバイトをしたのだった。 事前に聞いていたのは、…

それでも研修は受けなければならない

先日、帰省した折に、地元の友人・ヤマムラと飲んだ。彼は可笑しな話題に事欠かない人物なのである。そのいくつかをこのエッセイで紹介する許しを得た。 彼はとある企業の大阪支社で働いており、ある日研修を受けることになった。最近では参加型のものが多く…

お正月らしい可笑しなこと探し

あけましておめでとうございます。いつもご愛読ありがとうございます。このブログを始めてから3ヶ月が経ちました。今年もまたくすっと笑えるようなことを毎週木曜に書いていきます。いつもとは言いません、ふと思い出し時に読んでいただければと思います。 …

バリウムを飲む

またしても人間ドックの話だ。人間ドックと言えば、 「バルウムを飲むのが辛い」とか、 「ゲップを我慢しないといけない」 という話題が一般的である。職場の諸先輩方が異口同音にそのことを言うのを何度も聞いてきた。中でもとりわけ 「装置に乗せられてぐ…

はじめての人間ドック

先週、はじめて人間ドックを受けた。受付を済ませ検査着に着替える。検査フロアに降りると、小部屋に囲まれた広間に置かれた円形のソファーに案内された。病院とは言え、検査専用の棟には、病気を予感させる病院特有の雰囲気などまったくなく、何か非日常の…

声に出して読む

五月の連休明けのことだ。ブック・ディレクターの幅充孝さんらが主催された読書のフェスに参加しようと、上野公園の野外ステージに行った。それはまだ少し肌寒い日だった。6時間にわたり10名以上のゲストがめいめいに文章を朗読した。観客から飛び入りで参加…

読み間違いが生むもの

唐突だが、少し前に宮沢章夫著『東京大学「ノイズ文化論」講義』を読んだ。この本で取り扱っている内容が興味深く、ずいぶんと刺激を受けたのだが、今日の本題は別な話だ。『第8回 それを「ノイズだ」というなにものかがいる』の章だ。『4'33"』で知られる…

エスプレッソを頼む

何かあるごとに私はコーヒーショップに立ち寄る。コーヒーが好きというのもあるが、本を読んだり、何か考えを整理したり、書き物をする時にとても便利な場所だからだ。このエッセイもやはりスタバで書いている。 そして、カウンターで注文する時にごく稀に可…

にっぽんタクシー無責任時代

代々木でたまたま空いた席に座ったのがよくなかった。ふっとなま暖かい空気を感じて目を開けたら高田馬場だった。乗っていたのは山手線の終電だった。新宿で乗り換えなければいけなかったのだが、酒に酔っていたこともあって寝込んでしまったのだ。 もはや戻…

サグラダ・ファミリアはいつ完成するのか?

しばらく前のことだが、気になる新聞報道があった。サグラダ・ファミリアだ。バルセロナで建設を始めてから130年以上も経過して、なお建設中のサグラダ・ファミリアが設計者ガウディの没後100年となる2026年の完成を目指すというのだ。これまで、…

カレー屋の前のドッペルゲンガー

「そう言えば、A子ちゃんのtwitterのアイコンって少し前は伊東四朗だったよね」「伊東四朗に似てるって言われたから、アイコンにしてたのー」... そして可笑しな会話に巻き込まれていく。

粗忽な車掌

その日、どちらかと言えばその車掌の調子はよかった。三鷹駅で折り返す黄色いラインの入った各駅停車は吉祥寺を出て新宿方面に走り出したところだった。車掌は伸びやかな声で言い放った。

こだわりの店

こだわりの店はとにかくこだわっている。「当店のこだわり! 玄米を毎朝お店で精米しています」というような貼り紙が掲示されていたり、「シェフがこだわり抜いて選んだ無農薬野菜だけを使ったドレッシングでお召し上がりください」などとメニューに書かれて…

形式を重んじる人

形式を重んじる人はいたるところに存在する。形式を重んじると言えばつい生真面目で冗談が通じない印象を与えるが、形式を重んじることと、生真面目かどうかはまったく関係がない。 お盆に実家に帰ったときのことだ。まだ私は大学生だった。その頃、実家は店…

煮込みハンバーグをめぐってわかりあえない

そこはL字型のカウンターに六つの席が並ぶだけの狭い定食屋だ。カウンターの中では細身で短く髪を切りそろえたおやっさんとチンピラ風の二人の助手が働いていた。キッチンの奥の方にあるコンロとフライヤーの前でおやっさんがせっせと料理を作る間に、手前で…

名前「フリオ」にまつわる不思議

フリオ・イグレシアスというスペイン人歌手を知っているだろうか。では、フリオ・コルタサルというラテン・アメリカ作家は?いや、彼らを紹介することが目的ではない。ここで考えたいのは、彼らに共通している、この「フリオ」という名前だ。ちょっと日本人…